半沢直樹ものまね「ダメ沢直樹」は人生を倍返しする「ポケットの中の闘争」〜最弱人生の変え方〜

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映画「万引き家族」が凄いことになっていた。「絆とは」

万引き家族が
大きな賞カンヌ国際映画祭の最高賞「パルムドール」を受賞した記念で
テレビ放送した是枝監督の「三度目の殺人」を見た時に
おーすげー!
と、一年ずっと待ちわびて
やっと観終えることができた・・・・
 
 
三度目の殺人の時のようなハッキリした善悪との葛藤
が見られない、これはジワ~っと
 
温まる話かな~と思ってみていると後半になって
 
一気に全部をかき回される映画だった。
 
 
善悪とか、愛情がどのうのこうの、とかいったん全部置いてけぼりになるくらい
混乱する。
 
どうも是枝監督は登場人物のバックボーンに複雑な設定を入り組ませて
トリッキーなことをするのを武器にしているように見える。
 
そういった意味では、ジワる映画だけにとどまらず
面白いし、語りたくなってくる余白がたくさんある映画となっている。
 
映像特典にある予告がよくできていて
 
ナレーションの『盗んだのは絆だった』
 
というのがルパン「カリオストロの城」の銭形のとっつあんではないけれど
 
わかりやすい言葉として置いてある。
 
そこに差し込まれている「内緒だぞ、俺たち家族なんだ」
というのも実に暗示的。
 
安藤サクラさんの演技が絶賛されていたが、たしかにとてつもなくキーであり
複雑な役どころと複雑な演技をしている。
 
表情が射す光陰というのか、まったく別の顔になるときがあり、
すごく印象的。
 
家族とは、絆とはなんだろう?みたいな単純な話ではなく
その場しのぎから生まれる絆もあれば
絆や愛情がすれ違いを生んで壊れる関係もある
 
とりあえず観たもん同士で語り合ってきたくなるー。
 
設定の事実関係を全部理解する必要がない、というところが三度目の殺人もそうだけど
すごいところ。
 
監督自身が「三度目の殺人」で
明確な事実の設定はあるんだけど、あれ?どっちだったっけと無実だか実行犯だったからわからなくなることがあった、と言っている(゚Д゚;)
 
僕たちは
どれだけのものをこの映画から拾えるだろう。
 
日本アカデミー賞では最優秀作品、監督、照明、音響、まで受賞している( ゚Д゚)とにかく
各賞を取りまくっているすんごい映画。
 
カンヌ映画祭の時にドレスアップして役者たちが集まり
手を繋いでいる写真を見るだけで、ああ、あの家族がスポットライトを浴びている・・・と
謎の感情が湧いてくるのがおかしい。
(こういう映画の中では貧乏、とか不幸なエンディングの作品の人物たちが
成しえなかった姿を見せる、というのは良い演出)
 
ーーーーーーー(ここからはネタバレもあり)ーーーー
 
愛していて好きだったら、叩いたりしない。
こうするよね~とギューッと「りん」(佐々木みゆ)を抱きしめる「信代」(安藤サクラ)
 
これがシンプルな答え。
序盤だけだとあまりにシンプルすぎて、地味な映画(;´∀`)と思うが
ラストのドタバタから振り返ると、何気ない意味のないやりとりがいかに重要であったかがわかる。
 
信代自身も暴力を元旦那から暴力を受けていたからこそ、
ギューッと抱きしめることにたどり着いたのかもしれなく、
「生まなきゃよかった」と言われたりんの中にある優しい心に気がつき結び付いたのも
必然だったのかもしれない。
 
パルムドールの審査員長をつとめていた「ケイト・ブランシェット」が絶賛した泣くシーン。
 
弱みを見せたくない矜持と滲み出る涙をごまかしながら拭う様が
強さと弱さが共存していてとてつもなく余韻を残す
 
初枝(樹木希林)が突然亡くなるシーンから一気に畳みかけられる絆の疑惑が実に切実。
 
金で繋がっていただけなのかもしれない家族、
 
あの、りんが万引きしようとしているのを祥太(城桧吏)がかばうように見つかるような万引きをするシーン、
明らかにただ「りん」を守るために自分が犠牲になったのだけれど、
後のシーンで「わざと捕まった」と
 
実は自分が悪いことをしていたかもしれないとうっすら思い始め、捕まりたかったのだ、という心情と
すり替えられて、どちらも事実であったかのように取ることができる。
 
この「どちらともとれる」ところがとにかくすごい。
 
「万引きしか教えられることなんてない」と
語る治(リリー・フランキー)だけれど
 
ラストシーンでりんが「いーちに~さんまの~」歌う、どうでもいいこと、
日常の些細なこと、はしっかりと伝わっている。
 
確かに「おいて逃げようとしたこと」に家族でないことの限界はあったが、
正直に謝り、バスを必死に追いかける治の姿は家族の別れ、そのものであった。(あえて治を映さないところが憎い演出)
 
いや~、考えれば考えるほどいい映画に思える。
 
しかし初期のタイトルが「声に出して呼んで」だったというが
 
あまりにパンチのないタイトル(;´∀`)
なんか単館上映のハートフルな映画止まりな気配がする。
 
「万引き家族」!で良かった。
 
「インクレディブルファミリー」と張れるくらい力強いものを感じる。
 
「PG12」という子供には親の助言か保護者がいたほうがよいよ、というレーティングつきだけれど
確かにあんなにバンバン万引きされてしまったら、
 
万引きチョロいと思われてしまう。
 
防犯ゲートの電源抜いて盗まれる釣り竿屋さんが可哀想(;'∀')
 
そして駄菓子屋の店主(柄本明)が万引きに気づきながら駄菓子を上げる優しいシーンがあまりに
哀しい
 
子供が万引きが悪いことだ、とわからないことがあるように、
 
大人も虐待が悪いことだとわからないことがある。
 
「そんなことさせるなよ」と願いながら亡くなる人たちの想いはいかばかりだろう。
 
 
捕まっても釣りがくるくらい楽しかった、というカッコよすぎるセリフを吐く信代。
(これは万引きじゃなくて誘拐の方だよね(;´∀`)・・・いや誘拐もだめだよ(;゚Д゚)
 
絆とはなんなのだろうか、それほどのものなのだろうか。
 
 
 
本物の家族じゃない方が楽、
というセリフがあり
 
実際に、「いざとなれば切り捨てて逃げる」ことができてしまう。
 
じゃあ、ラストシーンで求めるような眼をしていた「りん」の絆は切っても切れていなかったことになる。
 
大切な絆を、捨てたり、落としてしまったりしていないか、考えなくてはいけない。