仮面ライダー鎧武、はおそらく最高傑作~そしてキリストとなる~」
一番を決めつけるのは野暮ですが、
あえて一番と言わせて欲しいのが仮面ライダー鎧武
終盤のシナリオがすごすぎる。
哲学してる。
最終的なオチを僕は最終話で見ていたが、これ、何のためにやっていたか、をきちんと理解しているかどうかでまったく評価がわかれるだろう。
そう考えるとややこしいのでついて行けない人もいるのでは・・・
人類を7分の1にしてしまおうとする世界の野望(インベスという魔物が世間に溢れてそもそも絶滅の危機)
「希望という名の病原菌に侵された」兄を失うミッチはコウタを恨み牙を剥く。
最終的にコウタの至る強さは
「残酷なシステムを受け入れることに抵抗する」という強さを見せる。
なにかを犠牲にする、ことを否定するのだ。
もう一人バロンことカイトはただ強さを求める。
強くなければなにも守れない、自分の過去の弱さを憎み続ける。
ここでただ強い、という強さはシステムに屈服したことになるのでコウタのなかでは本当の強さにはならない。
この二つの哲学がどこに至るのか、それが終盤になる。
そして禁断の果実をモチーフにしたこの物語は聖書のようになる。
凄いのが、主人公コウタのことを「異常だ」と語ること。
彼の自分を犠牲にして世界を守ろうとする心が異常だ、というのだ。
こうしてコウタは全てを最終的に許す。
そのセリフがこうだ。「お前はこれからどれだけ長い人生を歩むと思ってる?」
そのセリフを受けて「それだけで僕を許すんですか?」
命を落としたかにみえるコウタは人外の力を手にする。いや、もう人に戻れなくなる。
そしてなんだか急に髪色が変わってコウタは謎の新世界を作ろう、ということになる。
これはついていくのが難しい、が、
まさに聖書の物語のように新しい地で命を紡ごうとする
そして光も希望もない、暗闇、だからこそ、価値があるのだ、という結論に至る。
希望に固執したコウタは希望そのものになり、
許しを得た裏切りのミッチは贖罪の道を歩む
台詞がとにかく深い。
ベルトを開発したセンゴクリョウマは裏切りのミッチに言う。
「習っただろう?悪はいけないと・・・なぜだと思う・・・
卑怯、臆病、を持つものは騙されやすいからだ」(ちょっと意訳してます)
という合理的なセリフがすごい。
悪がいけないのではなく悪にそまると人に騙されて生きることが困難になるのだ、というのだ。
こうした台詞に深みを持つ点に驚いた。
ちなみに
映画版で次のライダー「ドライブ」と共演したとき
鎧武は「神様扱い」されてて笑う(;'∀')